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ほたるいか漁に出漁!

ホテル(というより民宿)に到着して、ササっと温泉。
急いで仮眠をとろうとする中、響く雷。雨の音。
「こりゃ、漁にはでられない?」
と不安になるも、眠りに落ちて、あっという間に午前2時。

ほたるいか漁に出漁!

自分を含め取材班はきっちり集合。
まだ小雨の降る中、車に乗り込み、みんなの会話は
「これ船出るのかね?」「すげー寒いね」
の繰り返し。船が出るかかなり怪しい雰囲気の天気です。

目的の漁港「四方漁港」に到着。誰もいない。
「やはり船がでないのでは?」
と心配してしまいましたが、連絡をとってみると市の職員の中村氏がにこやかに出迎えてくれました。
中村氏は今回の蛍烏賊漁に同行するのを橋渡しして下さったり、船に一緒に乗り込み色々説明して下さったり、
漁師さんと朝ご飯を用意して下さったり、と、特別な計らいを準備して頂いた方です。

ほたるいか漁に出漁!

そして、昨日は出られなかったけど今日は出る!とのことで、早速上下のカッパとライフジャケットを装着し、
いよいよ!です。
今回協力してくださった漁船の専務、門島氏は先代からこの仕事を引き継ぎ新しい試みに挑戦している若手漁師です。
例えば、他の漁師さんは大きなバケツに『どぶん』とざっくり蛍烏賊を入れているだけ。
門島氏は獲れたての蛍烏賊の鮮度を保つため、低温に冷やした海水につけて競りに並べていました。
漁港の中では、そういう事をするのが門島氏だけなので敬遠される事もある様ですが、
素材の事を考えればこちらの方がよいという判断。こだわりが見て取れました。

さあ、出漁!

ほたるいか漁に出漁!

船の上には2カ所「ドラム缶暖炉」があり、それは、その温かさと裏腹に、寒さをより引き立てていました(苦笑)。
出港後20分もすると網のかけた漁場に到着。ライトをつけ、20名位の漁師さんたちが一斉に手繰る網に並び引き上げにかかります。
まだ海面には姿は見えません。いつあのイメージするLEDライトのような輝きが上がってくるのかと心を躍らせます。
すると漁師さんがタモ(すくい網)を手にすくい出しました。ホタルイカが10匹位かかり、

ほたるいか漁に出漁!

ほたるいか漁に出漁!

ほたるいか漁に出漁!

「オー!、少し光ってる!」
青白い輝きが次々にかごへ。
海面を覗くと、ルビー色の小さなイカ達がスイスイ泳いでいるじゃないですか。
ネオンが泳いでいる感じではなかったのですが、人指し指ほどのイカが一面に!

ほたるいか漁に出漁!

ほたるいか漁に出漁!

ほたるいか漁に出漁!

自分もタモを手に気分は大人の金魚すくい!
活きたホタルイカを捕獲させて頂きました。
とれた瞬間は、威嚇なのかなんなのか、長い足の先端がピカピカ光ってきれいで、
身も赤く透き通っていて、築地で見る感じとは全く違います。
料理人の心がうずき、思わず【踊り食い】を勝手に。
するとあの小さな体の鋭い口でがぶりと噛まれ、一敗。
そして懲りずに2戦目。
相手は怒って体をぷっくりふくらせるも勇気をもって口の中へ!

ほたるいか漁に出漁!

「ん、こりこりで美味い!」
本来は、虫などがいることがあるので絶対に真似しないで下さい。
ちなみに漁師さんは、しっかり焦げる迄焼き切るか、内蔵を外して刺身か、と、かなり徹底して生食は控えていました。驚きです。

そうしている間に、手繰る網は幅が狭くなりクライマックスへ。
2隻の船は間隔3メーターほどでしょうか。
間には、かかったホタルイカが逃げ場を失い一面にいます。
それをクレーンについた大きな網でがっぽり船上に持ち上げます。
門島氏の粋な計らいで船のライトが消され、その網の中でホタルイカがきらめき、
神秘的なシャンデリアのように姿を変え、感動的な‘一瞬’が生まれました。
写真をとる隙もなく、ライトがつきまた現実へ。
その後はすぐにダッシュで漁港にもどり、仕分けです。
混じったクラゲや死んだ蛍烏賊も選り分けます。

その作業は漁場を変え2回繰り返し、港に戻ったのは朝の6時位です。
船上では興奮状態だったので気になりませんでしたが、楽しい興奮と感動の先には氷と化した足先。
覚悟はしていましたが、ツメが甘かった、、、
漁師の皆さんはかなり薄着のように見え、中にはずっと素手で網を操ってらっしゃる方もいて。。。
寒がりの僕にとってはありえませんが、尊敬です。

ほたるいか漁に出漁!

さて、その獲れたての蛍烏賊や魚などを、炭火焼き・刺身、炊きたてご飯(富山産)、お味噌汁、
でお腹と心を満たしてもらいました。

ちなみに、今迄すごく疑問に思っていたのがボイルホタルのやり方。
築地の生ホタルで研究していたのですが、これがなかなか難しいのです。
その答えが一瞬で出たのもスッキリしました!答えは、単純に「鮮度が命」。
東京で茹でると内蔵が出てきてしまうのですが、獲れたてのものは、焼こうが茹でようがプリプリです。
実際その獲れたてを持って帰って、その夜店で料理しましたが全く問題無し。
しかし、翌日はやはり茹でると上手く「いか」なくなってしまい、
非常にデリケートな食材という事がよくわかりました。

ほたるいか漁に出漁!

あれは、あの場でしか本来楽しめない貴重な食材なのかも知れません。
やっと足の氷も解け、門島氏、中村氏との別れを惜しみつつ、車に乗って、みんな、爆睡です。

気づくと最後の目的地、高岡市の有名錫工場「能作」に到着。
失礼ながら初めは寝起きなのですごくテンション低い名刺交換。
実はこちらは、当店でも箸置きに使わせて頂いていて、他にも欲しいものがたくさんある、
いつも思いを抱いていたお店です。
テレビでもドキュメンタリーなどで見ていた事もあり「やっと来れた!」の想いがいっぱいだったのですが、
うまく表現できずに申し訳なかったと思っています。(能作社長、すみません!)

ほたるいか漁に出漁!

ショールームで見せて頂いた新作は、食器に仕立てたものも多数あり、また一目惚れ。
しかし、高価な商品というのは知っていたので取材というメリットも活かしつつ交渉へ。
能作社長は気さくで、自分が海外でのプレゼンでの発表にも使わせて頂くとの事で、快く折り合いがつきました。

ほたるいか漁に出漁!

特にこの富山を表現する上でこれはというものも発見。
ご存知の方も多いかと思いますが、能作氏の錫商品は、100%に限りなく近い純度なので、
手で簡単に曲げられるほど柔らかく、自分で好みの形に曲げ延ばしが出来るというのが特徴です。
今迄、料理というのは、食器に盛る素材=料理を変えていたんですがその都度、
素材にあわせて食器が形を変える非常に面白い作品です。
社長は、ゴムを触るように自由に曲げ延ばしし、網状の作品を延ばしている時に、ひらめきました!
「あれ、これってさっきの漁の網みたい。」

バスケットとして使うようなものが、蛍烏賊をとる網に見立てられる感じがして、即購入。

時間が足りなかったのが残念ですが、飛行機の時間が迫り、手荷物で門島氏からの蛍烏賊と、
折井さんの銅板、能作さんの錫食器を持ち、戻りました。
笑い話ですが、その錫製品の手荷物のお陰で、セキリュティーを通してもらえず、
それを知らないという若い空港のスタッフに、富山の伝統工芸品について、搭乗ぎりぎりまでこんこんと説いてやりました。

今後は、かなり富山の影響をうけたお店になりそうですが(笑)、自信を持ってお客様に説明でき、それらを使う楽しみができました。
なので、2日間ほぼ睡眠なしでの強行ツアーによる時差ぼけのような、全身打撲したような、疲れも、
すーっかり忘れ、ワクワク感でいっぱいになって東京に帰ってきた自分がいました。

今回は、本当にとても多くの方にご協力頂き、今後もその感謝を形に表して、お返しできればと思っております。

現在「富山の想い出」という料理をお出ししたりもしていますので、その写真はまたアップします。

まずは、この様子を、5月7日(火曜日)発売の
「ディスカバージャパン」
で是非お楽しみください!よろしくお願いします!!

ほたるいか漁に出漁!

ほたるいか漁に出漁!


追伸
かりの熊肉が届き、興奮しています。
おそらくこれから春のシーズン「熊」もメニューに登場するかもしれません。
お楽しみに!