農家一日体験
まだ最高気温が10℃満たない2月下旬。お世話になっている鎌倉専業農家、
斉藤ご夫妻のもとを訪ね、スタッフ皆で鎌倉の畑に言ってまいりました。
今回は、自分を含め、二人のスタッフにも、調理場での葉ものひとつが、
昔で言うところの米粒1粒に値して、そのひとつを作り出すのにどれだけの苦労があるかという事を体験させたいという事と、
ご夫妻で年間1日も休んだ日が無いという斉藤さんに少しでもゆとりができたらという思いでした。
農家さん達は春から夏にかけての種まきの時期に入り、繁忙ではなく、多忙の時期といえばいいでしょうか。これからそれらが実るのは、6月くらいです。
野菜という食材は、一般的には1個数百円ですが、種まきから収穫まで毎日毎日面倒をみて育てていくので、費やす時間は膨大です。
私の両親の実家(新潟)も農家なので心得ているのですが、畑でとってきた土の付いた野菜を洗い掃除するのは、爪を真っ黒にしながら、想像以上に時間がかかる作業です。
実際、この1番寒い時期に外での野菜を洗う水仕事はこの上なく辛い作業です。
今回の「斉藤農園で農家1日体験」での作業では、運良くそれは間逃れたので寒がりの僕は内心ホッとしました(笑)。
が、この体験を斉藤さん夫妻にお願いしたのは、本当は、それをうちの若い子らに経験してもらい、より、葉もの1枚1枚に愛情を注ぎ、大切に使う料理人になってもらいたいと思いを伝えたかったからでした。
当初、手伝いにいくメインの予定はジャガイモの植え込みだったのですが、畑のコンディションや天候不良のため、植え込む前の段階の種芋の切り込みや収穫した野菜の掃除をしました。
斉藤さんは多品目を植える農家さんで、ジャガイモの品種だけでも8種類くらいはあり、4人掛かりで2時間、外でひたすら切り、何千個になったのかなという位、やり始めは先の見えない作業でした。
でもカラフルで品種名も楽しく、デストロイヤー(笑。新種で味がかなり良いそうです)、パープルキッズ(きれいな紫は切っていても楽しい!)、インカの目覚め(お気に入り)などなど覚えられないほどです。
午後は、収穫してきた葉ものの野菜たちをはさみなど使って、根を切り、泥を払いながら、雑草や枯葉を除きます。
斉藤さんの特徴ですが、露地栽培、有機農法なので、形は不揃いだし、雑草も一緒なので、美味しい味にたどり付くのに手間を必要とします。
とってきたかご一杯の法蓮草や小松菜も、掃除すると半分近くになる感覚で、すごい量のゴミを作ってしまいました。
でも、そのゴミ(堆肥などに利用)とは言葉だけで、ほんの少し枯れて傷ついただけの葉で、賄いのサラダやピュレにするのには十分すぎるほどでした。
なので、もったいないから少しもらってきました。おそらくおばちゃん達がいったら、きれいになくなりそうです。(笑
そんな作業は当然ですが日のあたらない、日陰でしなくてはいけません。
葉もの野菜は日にあたるとしんなりして鮮度が落ちでしまいます。そこに寒い風が。。。最高です(遠い目)。
3時間もすると手つきは慣れるものの、手足の感覚が、、、なくなります。
これを普段、斉藤さん夫妻は一人か二人で仕事をしているかと思うと、気が遠くなると同時に、この野菜の味が身にしみます。
作業初めは、「じゃがいもばかり見ているからフライドポテト食べたい?!」だなんて言っていた子も、発する言葉が「寒い」だけに。(苦笑)
そんな東京からきた新参ものを、野生のリス達が見に来たり、飼い犬がちゃかしに来たりで、楽しく1日が終わりました。
でもこれを毎日続けていく事の大変さを、若いスタッフ二人も十分理解できたと思います。
そんな畑から生まれた愛情いっぱいの野菜達で、作った2品がいま僕の新しいメニューとして活躍しています。
「タカザワ農園2012/冬」と「鎌倉ハーブ」です。
前品は、葉もの以外の焼き野菜の一皿で、後品は、和ヒレのステーキに、胡椒草、からし菜、わさび菜など牛肉にあうスパイスのような意味合いの葉ものをサラダとして多種添えています。
斉藤さん夫妻がそれにかけた手間ひまと、二人と僕らの野菜への愛情と、、
を浮かべて作るこの2品は、これからもTAKAZAWAのメニューを、明るく彩り続けてくれそうです。
また別の季節に「農家体験」をして、新メニューのヒントをもらいにいこうと今から企んでいます。