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食の都

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‘食の都’?アメリカへ ~シカゴ~

1週間、カリフォルニアとシカゴに行ってきました。
食べ歩きに、【アメリカ】へ行く。しかも、NYじゃなく、‘シカゴ’へ。
行く価値がある!からこそ、僕は足を運びました。

シカゴは友人のGrant(グラン アケッツ)が
現地のレストランを全てコーディネートしてくれた為、
どこに行っても大歓迎!を受け、とても温かみのある人々と楽しく過ごせました。

もちろんここで書かざるを得ない事は、Grantのレストラン
【ALINEA】アリネア についてです。
2年前に一度訪れたことがあり、
その時僕は「世界の頂点に、近くたつレストランだ」と感じていたのですが
この2年の間でGrantは、それを完全なものにしてしまったような気がしました。
なぜなら。
独創的なプレゼンテーションに加え、
今回は‘味’が完全にそれぞれのプレゼンテーションに伴っていたのです。

いくつか彼のスペシャリテを今回のメニューから紹介すると・・・
例えば、『海老の一皿』。
円球状で、3段重ねになっている器に、3つの温度の‘海老料理’を組み合わせた料理。
上段【冷】:アイスクリーム、中段【温】:サラダ、下段【熱】:チャイ風スープ
それを、上から順々に食べていく。
アイスを食べたら、サービススタッフがすっときて、一段目のお皿を下げる。
そして、スープのようなもの注ぐ。そして、サラダを食べたら、2段目を下げる。
3段目は、サラダを食べる前にそこに注がれた海老のスープと、
もともと3段目に入っていた‘チャイ’風スパイスで、海老の‘チャイ‘が完成している!
それを、サービススタッフが漉して‘チャイ風スープ’を仕上げてくれる。
そのお皿の背景には、素晴らしいスタッフのチームプレーが反映されているようでした。
手数やタイミングが完璧に計算され、テーブルの上で最高の状態にもっていく。
1皿で、10分ほどの演出が目の前で滑らかに続いていく、舞台のような一皿でした。

そして、2009年のスペイン料理学会でも発表された『シリコンマットテーブルクロス』。
テーブル全体を器にしようという新しい発想です。
まず、テーブルの上のものは全てさげられ、フラットになります。
そこにシリコン製のテーブルクロスがひかれます。
この時点で、1メートルほどのテーブルが、真っ白なキャンバスになったのです。
そこに現れたのは、Grant。
次々とデザートをそのキャンバスにデコレーション。まるで絵を描いているみたいに。
液体がその間に固体になる、固体だったものを粉々に砕く、様々な変化がありました。
目の前で徐々に完成していくそのデザートを、なんと表現すればいいのでしょうか。
楽しいパフォーマンスです。

ほんのこれは一例ですが、
料理にエンターテイメント性があり、サービスが温かくユーモアがあり、
心地よく過ごせるレストランは
現在、僕にとっては彼がトップな気がしてなりません。

‘旬’を食事する感覚と楽しい演出が無理なく共存することが必須だと思っていますが
Grantの場合はその上をいっていると感じました。
誰も彼の上をいくことはできない気がしました。

そして、その日のALINEAでの食事後、
Grantと朝までお互いの考えやアイデアを交換しあい、良い一時を過ごしました。
今回彼は、アメリカ各地でイベントがあり多忙を極める中
私たちのディナーの日には、シカゴに、ALINEAに戻ってきてくれました。
朝まで一緒に飲んだその足で、そのまま飛行機に乗って次のイベント地へ。

彼の料理は、こんな彼の熱いパーソナリティがあってこそ。
彼の素晴らしいチームも、素晴らしいレストランも、それが創り上げている。
僕が、今、一番憧れてやまない存在です。